活用事例 蒸気管埋設法...末継花園様(第4回)
第4回 蒸気消毒法の発展、アレンジ法、現在の課題、取組
蒸気管埋設法で蒸気消毒を行うことで青枯れ病は完全に克服することができましたが、現状でもフザリウム菌が原因と思われる立ち枯れ病がぽつぽつ出ることがあるそうです。この病気は隔離ベッド栽培と呼ばれる、作物の根を大地と切り離した栽培方法では克服できているため、栽培用の通路などから持ち込まれているのではないか?と末継さんは考えておられます。我々もそこにヒントがあると思い、この症状への対策に関しては丸文製作所としてもがっぷり取り組んで参りたいです。
現在は、フザリウム対策として消毒後に土づくりも含めて、有機素材の投入、圃場を還元状態にする。という手順を入れていらっしゃいます。専門的な表現になりますが、栽培の流れ、処理手順を下記に示します。
トルコキキョウ栽培前に蒸気処理→バイオエース等ぼかし資材を投入→潅水十分行い圃場を還元状態にする→トルコキキョウ苗定植→栽培・収穫→ユリ栽培の準備(ここで蒸気処理をすることもありますが、蒸気処理を省くこともできるそうです)→ユリ栽培・穫⇒トルコキキョウ栽培前に蒸気処理を行う、と繰り返しになっています。
お話を聞いていて感じたことは、行動や思考のすべてが「いかに経営を安定させるか」からスタートされ、徹底されている、ということです。オリジナル品種を作ること、それをブランド品まで高めること、蒸気土壌消毒機を導入されること、苗テラスを導入されること、そもそも新しいことにチャレンジされること、競合産地へ足を運ぶこと、情報収集すること、それらのすべてが「経営を安定させるため」という強い動機づけがされていることに大変感銘を受けました。
蒸気消毒はすべてを解決する魔法の杖では無く、数ある防除方法の中の選択肢の一つ、でしかありません。我々としては今のところ生産者の皆様に貢献させていただく方法としては、その数ある防除方法の中で蒸気消毒の存在意義を少しでも高める、確実なものにするために情報収集、研究開発を継続していきます。今後ともよろしくお願いいたします。ご協力ありがとうございました。