活用事例 蒸気管埋設法...末継花園様 (第2回)
第2回 末継花園さんの栽培環境、蒸気消毒導入の経緯
土壌・用土について
土質は壌土と呼ばれるものです。粘土と砂をバランス良く含む土、と思っていただければイメージが近いです。栽培のために利用している、有効土層は250mmです。
圃場・施設について
鉄骨ハウス3,300m2、パイプハウス1,500m2、冷房育苗ハウス72m2、
閉鎖型苗育苗システム(苗テラス)、加温設備、電照設備、
蒸気土壌消毒機、冷蔵庫23m2、隔離ベッド
労力について
家族3人、常時雇用1人
家族経営を基本とされています。栽培面積は頭の中で管理できる範囲、例えば「あのハウスのあそこにあるトルコキキョウは今、こんな状況」と思い浮かべることができる範囲内で留めておられます。栽培面積を増やすことは、この感覚が行き届かなくなる可能性が高い、ということで考えていないようです。<資料は、最新農業技術 花卉vol.5、農文協より抜粋させていただきました>
この施設・設備の中でも特にすごいなあと思わせるのは、閉鎖型育苗システムを導入されていることです。
閉鎖型育苗システムというのは、植物の苗を箱の中で行うシステムのことで、室内の明かりや温度など自在にコントロールすることが可能なのです。苗を早く成長させたり、じっくり育成したり、というのが天気に左右されずにできちゃいます。小さな植物工場といっていいでしょう。これってすごくないですか?
末継さんはこのシステムを導入されることで、オリジナルの品種を作り出した後の苗生産が安定して行えるようになり、市場の求める品質と数量を供給できるようになり、オリジナル品種をブランド品種へと成長させることに成功されたわけです。
さて、そんな末継さんと蒸気土壌消毒機の出会いですが、これも新しい情報を求めてのハウス見学からスタートします。高知県のオリエンタルユリ生産ハウスの現地で「蒸気土壌消毒」と出会います。
「蒸気土壌消毒」済みの圃場で作られたオリエンタルユリのボリューム感に魅せられた末継さんは同型の機械の導入を即決されることになります。
オリエンタルユリで蒸気土壌消毒が高い効果を発揮することは確認済みだったので、どうせならオリエンタルユリの後に作っているトルコキキョウの病気にも効くといいがなあ、と期待されていました。しかし、導入当初はトルコキキョウの病気、特に当時困っていた青枯れ病の駆除に関しては安定して防除することができませんでした。そのため土の前準備には、オリエンタルユリ向けには蒸気土壌消毒を行い、トルコキキョウ向けには薬剤による防除を行っていました。
トルコキキョウにも蒸気土壌消毒が安定して効果を発揮するようになるにはもう少しの試行錯誤が必要でした。
スカシユリ
苗テラス