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お客様活用事例

2014年5月

蒸気管埋設法...末継花園様(第4回) 活用事例

2014年5月18日

第4回 蒸気消毒法の発展、アレンジ法、現在の課題、取組

 蒸気管埋設法で蒸気消毒を行うことで青枯れ病は完全に克服することができましたが、現状でもフザリウム菌が原因と思われる立ち枯れ病がぽつぽつ出ることがあるそうです。この病気は隔離ベッド栽培と呼ばれる、作物の根を大地と切り離した栽培方法では克服できているため、栽培用の通路などから持ち込まれているのではないか?と末継さんは考えておられます。我々もそこにヒントがあると思い、この症状への対策に関しては丸文製作所としてもがっぷり取り組んで参りたいです。

 現在は、フザリウム対策として消毒後に土づくりも含めて、有機素材の投入、圃場を還元状態にする。という手順を入れていらっしゃいます。専門的な表現になりますが、栽培の流れ、処理手順を下記に示します。

トルコキキョウ栽培前に蒸気処理→バイオエース等ぼかし資材を投入→潅水十分行い圃場を還元状態にする→トルコキキョウ苗定植→栽培・収穫→ユリ栽培の準備(ここで蒸気処理をすることもありますが、蒸気処理を省くこともできるそうです)→ユリ栽培・穫⇒トルコキキョウ栽培前に蒸気処理を行う、と繰り返しになっています。

 お話を聞いていて感じたことは、行動や思考のすべてが「いかに経営を安定させるか」からスタートされ、徹底されている、ということです。オリジナル品種を作ること、それをブランド品まで高めること、蒸気土壌消毒機を導入されること、苗テラスを導入されること、そもそも新しいことにチャレンジされること、競合産地へ足を運ぶこと、情報収集すること、それらのすべてが「経営を安定させるため」という強い動機づけがされていることに大変感銘を受けました。

 蒸気消毒はすべてを解決する魔法の杖では無く、数ある防除方法の中の選択肢の一つ、でしかありません。我々としては今のところ生産者の皆様に貢献させていただく方法としては、その数ある防除方法の中で蒸気消毒の存在意義を少しでも高める、確実なものにするために情報収集、研究開発を継続していきます。今後ともよろしくお願いいたします。ご協力ありがとうございました。

蒸気管埋設法...末継花園様(第3回) 活用事例

2014年5月15日

第3回 蒸気消毒導入後の改善点

平成18年くらいから丸文製作所内で、「蒸気消毒作業をもっと簡単に、省エネに対応した消毒方法を、」という問題意識の中しい消毒方法を開発していました。蒸気消毒作業はとにかく準備と後片付けが大変です(すみません)。蒸気の熱に負けない素材のートやらホースやら何やらかんやら、すべてのものが耐熱、耐圧なもので重たいのです。そんな大変な作業を少しでも軽量化できないか?という観点でmarubun商品は開発されていますので、ライトホースや水枕、被覆シート等丸文製作所オリジナルのアタッチメントは他社に比べると圧倒的に「軽い」です。それでもこれは他社さんと比べた「相対的な」話であって、そもそも作業が大変、という話の前ではまだまだ「絶対的に」努力が足りません。

そこで考え出された方法が、蒸気を通すパイプを土の中に埋めっぱなしにする、という方法です。蒸気が通る「穴」が目詰まりさえしなければ長期間の使用にも耐えられるはずです。

今回は、施工手順も含めご紹介していきます。

ステップ? 土を掘る
・埋設する管の太さ、耕す深さ、作業性などを考慮します。末継さんは25cm程度を目安にしています。
手順・004.jpg


ステップ2 蒸気投入管を設置する
・蒸気投入管には、畝の長さに合わせて計算された蒸気噴出口が開けられています。

ステップ3 気相確保&目詰まり防止剤(末継さんの場合、ボラ土)を敷く
・埋設管の周りを蒸気噴出口が目詰まりしなしように目の粗いもので覆います。この素材は空気を良く含む素材を採用した方が蒸気消毒の効率が良いことが分かっています。末継さんの場合は、九州で手に入りやすく安価な「ボラ土」という軽石の風化物を採用されています。

手順・008.jpg

ステップ4 埋め戻し
あとは埋設管を埋戻し、その後の蒸気処理に備えます。

という流れです。
手順・012.jpg
埋設図.png

この方法に変えることで、準備後片付けの手間が格段に減りました。
さらに消毒効果もアップしたことから青枯れ病の克服に目途が立ち、薬剤(クロールピクリン)では根絶することが出来なかった青枯れ病を克服することができました。
消毒時間は畝の状態にもよりますが1時間から1時間30分程度です。これは表面からの処理に比べてより深い25cm以上の深さの土層を処理できている、という点を考慮すると、60%以上の省エネになっている計算になります。手間を省けて、効果も高く、費用も安くなったということで、一石三鳥だったという訳です。

蒸気管埋設法...末継花園様 (第2回) 活用事例

2014年5月13日

第2回 末継花園さんの栽培環境、蒸気消毒導入の経緯

土壌・用土について
土質は壌土と呼ばれるものです。粘土と砂をバランス良く含む土、と思っていただければイメージが近いです。栽培のために利用している、有効土層は250mmです。

圃場・施設について
鉄骨ハウス3,300m2、パイプハウス1,500m2、冷房育苗ハウス72m2、
閉鎖型苗育苗システム(苗テラス)、加温設備、電照設備、
蒸気土壌消毒機、冷蔵庫23m2、隔離ベッド

労力について
家族3人、常時雇用1人
 家族経営を基本とされています。栽培面積は頭の中で管理できる範囲、例えば「あのハウスのあそこにあるトルコキキョウは今、こんな状況」と思い浮かべることができる範囲内で留めておられます。栽培面積を増やすことは、この感覚が行き届かなくなる可能性が高い、ということで考えていないようです。

<資料は、最新農業技術 花卉vol.5、農文協より抜粋させていただきました>

この施設・設備の中でも特にすごいなあと思わせるのは、閉鎖型育苗システムを導入されていることです。
閉鎖型育苗システムというのは、植物の苗を箱の中で行うシステムのことで、室内の明かりや温度など自在にコントロールすることが可能なのです。苗を早く成長させたり、じっくり育成したり、というのが天気に左右されずにできちゃいます。小さな植物工場といっていいでしょう。これってすごくないですか?
 末継さんはこのシステムを導入されることで、オリジナルの品種を作り出した後の苗生産が安定して行えるようになり、市場の求める品質と数量を供給できるようになり、オリジナル品種をブランド品種へと成長させることに成功されたわけです。

さて、そんな末継さんと蒸気土壌消毒機の出会いですが、これも新しい情報を求めてのハウス見学からスタートします。高知県のオリエンタルユリ生産ハウスの現地で「蒸気土壌消毒」と出会います。
「蒸気土壌消毒」済みの圃場で作られたオリエンタルユリのボリューム感に魅せられた末継さんは同型の機械の導入を即決されることになります。

 オリエンタルユリで蒸気土壌消毒が高い効果を発揮することは確認済みだったので、どうせならオリエンタルユリの後に作っているトルコキキョウの病気にも効くといいがなあ、と期待されていました。しかし、導入当初はトルコキキョウの病気、特に当時困っていた青枯れ病の駆除に関しては安定して防除することができませんでした。そのため土の前準備には、オリエンタルユリ向けには蒸気土壌消毒を行い、トルコキキョウ向けには薬剤による防除を行っていました。

 トルコキキョウにも蒸気土壌消毒が安定して効果を発揮するようになるにはもう少しの試行錯誤が必要でした。

スカシユリ.jpg
スカシユリ

ナエテラス.jpg
苗テラス


蒸気管埋設法...末継花園様 (第1回) 活用事例

2014年5月12日

第1回 末継さまの紹介、概要、経営規模

今回から4回にわたって、丸文製作所の蒸気土壌消毒機をご愛用いただいている、末継花園(末継聡)様のご紹介をしていきます。
末継さんは福岡県嘉麻市で切り花を専門に生産されているいわゆる「花農家さん」です。切り花の中でもトルコキキョウとユリ類を中心に栽培されています。

農場の位置する嘉麻市は福岡県のほぼ中央にあります。県内を北流する遠賀川の源流部に位置していることもあり、豊富で良質の水はこの地域が持つ農業資源です。
1990年にこの地区で初めて末継さんがトルコキキョウ栽培を農業経営に組み込まれました。当時は各種苗メーカーからトルコキキョウの新品種が次々に発表され、全国的に
栽培面積、出荷量が徐々に増加してきているという状況でした。市場でも既に品種として認知され「作れば珍しいから売れる」という時期は過ぎて、各産地によって
特長を出しながら競争していく、という時代に入ったあたりです。

この頃から末継さんは、他産地にも良く訪問され、各地の気象条件や施設条件、栽培技術等から自身の産地の立ち位置を冷静に分析され、農場の経営方針を決定されています。
この時期にも新聞で読んだ長野県の記事を元に、現地訪問されそこでトルコキキョウの「生産者育種」に出会います。さっそくご自分でも実践され、数年後にはオリジナル
品種として付加価値の付いた商品として世に送り出すことに成功されています。

新しい情報を貪欲に求め、それを見極める眼力があり、即実践に移す実行力、の成せる業です。


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